再発とどう向き合うか

再発時の治療

Q3.
再発した場合、どのような治療を行いますか?
A3.
再度、良い状態に戻すための治療を行いますが、できるだけ一人一人の患者さんの状態に合わせた治療法を選びます

再発が疑われたら、すぐ次の治療を始めるの?

以前は、『臨床的再発』(Q2参照)あるいは症状が出てから次の治療を始めていましたが、最近になって、症状が出る前、すなわちM蛋白の値が変動して『M蛋白再発』(Q2参照)が疑われた時点で次の治療を開始した方が、治療の効果が出やすく、次に再発するまでの期間を遅らせることができるのではないかと考えられるようになってきました。患者さんのなかにも、「早く治療してください」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、治療を始めるとなると、通院の回数も増え、患者さんの負担も大きくなりますので、治療を始めるタイミングについては主治医の先生と相談しながら決めることが多いようです。

何を目指して治療を行うの?

多発性骨髄腫と診断されて初めて受ける治療では、少しでも完治に近づけるよう、寛解(かんかい)という状態(治療により、多発性骨髄腫の症状が軽くなったり消失した場合、あるいは骨髄腫細胞が減少したり消失した場合)を目指します。初めて再発した後も、再度、寛解の状態に戻すことを目標にするのが一般的です。ただし、再発した時点で高齢であったり、合併症がある患者さんのなかには、それが難しい方もいらっしゃいますので、治療の目標(何を目指して治療を行うか)は患者さんによって違います。また、何回も再発を繰り返しているような患者さんでは、QOL(生活の質)を良い状態に保って、なるべく普通の日常生活が送れることを目指して治療を行う場合もあります。

どのような治療を行うの?

最初の治療でもそうですが、再発後もまず痛みを軽くする治療を行います。それと同時に多発性骨髄腫そのものの治療を開始しますが、どの治療法を選択するかは、前の治療の後、どのくらいの期間を経て再発したかによって変わります。たとえば、寛解の状態が長く続いた後に再発した患者さんでは、前と同じ治療をもう1回行うこともあります。一方、前の治療の後、短期間で再発してしまったような患者さんでは、同じ治療を行っても効きにくい可能性があります。その場合には、前回使っていない新しいお薬に替え、治療を行うのが一般的です。また、白血病などでは、一度効かなくなったお薬は二度と効かない場合が多いのですが、多発性骨髄腫では、骨髄腫細胞の性質がだんだん変化していくと考えられていますので(Q1のコラム参照)、前回効かなかったお薬が、今度は効くというケースもあります。お薬の組み合わせを替えることも効果的です。次の再発を遅らせるために、プラトー(病状が落ち着くこと)になっても、治療を継続することがほとんどです。

また、前の治療で副作用が出て使えなかったお薬は、再発した時の治療で使おうとしても、同じ副作用が出てしまう可能性がありますので、使いにくいとされています。前述のように、再発を繰り返している患者さんでは、QOL(生活の質)を維持することも治療の大切な目標ですので、副作用がつらくて普通の日常生活が送れなくなってしまうような治療を選択することはまずありません。

さらに、患者さんの年齢や合併症なども考慮して、できるだけ一人一人の患者さんの状態に合わせた治療法を選ぶ必要があります。患者さんが“どのようにご自身の時間を過ごしていきたいか”によって、治療法は変わってきます。たとえば、お薬によってはたびたび通院しなければならないものもありますので、遠方の患者さんでは通院の回数が少なくてすむ治療法が選ばれる場合もあります。

再発すると、以前は「ああ、再発しちゃいましたね。もうちょっと難しいね」というような話になっていましたが、今は新しいお薬の研究が進んでいて、再発した時に使えるお薬が増える可能性があります。以前なら、再発の山を3つしか越えられなかった患者さんが、4つあるいは5つの山を越えられるようになるのではないかと思います。