再発とどう向き合うか

多発性骨髄腫の再発とは

Q2.
多発性骨髄腫では、再発したかどうかをどのように判断していますか?
A2.
再発(臨床的再発、M蛋白再発)を判断する基準がありますので、それに基づいて判断しています

再発の判断

多発性骨髄腫の再発には、症状や画像診断などから発見される『臨床的再発』のほか、M蛋白(骨髄腫細胞からつくられる役に立たない抗体)の値が上昇することで気づく『M蛋白再発』があります。一般的にどちらの再発も、下表に示した国際的な基準を用いて再発かどうかを判断しています。ただし、M蛋白の値はちょっとしたことで上がったり下がったりしますので、1回の検査結果だけで判断せずに、経過をみることが大切です。

表 再発の判断基準
臨床的再発
(①〜⑥のいずれか1つに該当する場合、臨床的再発と判断します)
①新たな形質細胞腫や骨病変の出現
②もともとある形質細胞腫や骨病変の50%以上の増大
③高カルシウム血症の出現
④貧血の進行(2g/dL以上のヘモグロビン減少、もしくはヘモグロビンが10g/dL未満まで減少)
⑤腎機能の異常(血清クレアチニンが2mg/dL以上に増加)
⑥治療が必要な過粘稠度症候群(かねんちょうどしょうこうぐん)*1
M蛋白再発
(①または②のいずれか1つに該当する場合、M蛋白再発と判断します)
①2ヵ月以内にM蛋白が2倍以上に上昇
②検査を2回行い、以下のいずれかの検査値上昇がみられる
  • 血液検査で、M蛋白が1g/dL以上増加または25%以上増加
  • 尿検査(通常の尿検査とは異なり、1日ためた尿を使います)で、M蛋白が500mg以上増加または25%以上増加
  • フリーライトチェーン(FLC)*2が200mg/L以上増加または25%以上増加、かつFLC比*3が異常
*1  M蛋白が大量に血液中に出てきて、血液がドロドロになること。
*2  日本語で「遊離軽鎖(ゆうりけいさ)」と言う。抗体は、重鎖(ヘビーチェーン)と軽鎖(ライトチェーン)という2つの鎖が結合してできており、通常は細胞内で軽鎖の方が多くつくられるため、重鎖と結合できずに余った軽鎖は細胞外へ放出され、これを遊離軽鎖と呼んでいる。
*3  軽鎖には、κ(カッパ)鎖とλ(ラムダ)鎖の2種類があり、この割合をFLC比と言う。

日本骨髄腫学会 編『多発性骨髄腫の診療指針 第3版』(文光堂、2012年)より作表

FLCの詳細は、基礎編「治療の進歩と今後の展望」Q2参照

再発に気づくきっかけ

一般に、患者さんに自覚症状が現れる前に、主治医が検査値の変動によって再発ではないかと疑う場合がほとんどです。骨髄腫細胞は増殖するスピードがさほど速くないため、再発と同時に腎臓の機能が急激に悪くなって、全身がむくんでしまったというような症状が出るケースはほとんどありません。主治医がまず検査結果を見て、“M蛋白が少し増えてきたな”、“アルブミンが減ってきているな”、あるいは“貧血がちょっと進んでいるな”と判断し、患者さんに「悪くなっている可能性がありますので、ちょっと慎重に見ていきましょう」と声をかけるケースが多いと思います。したがって、再発を早めに発見するには定期的に受診して検査を受けることがとても大切です。

一方、なかには自覚症状(主に骨の痛み)が出て、“病気が悪くなっているのではないか”、“再発したのではないか”と、不安に思われる患者さんもいらっしゃいます。もし、“治療によって痛みが軽くなっていたのに、また痛みが強くなってきた”、あるいは“今まで痛くなかったところが痛くなってきた”などの症状がみられたら、すぐ主治医の先生に相談しましょう。

完全な寛解とは、治療により、多発性骨髄腫の症状や骨髄腫細胞が完全、あるいはほぼ完全に消失した場合を言います