再発とどう向き合うか

多発性骨髄腫の経過

Q1.
多発性骨髄腫は、どのような経過をたどっていく病気ですか?
A1.
最初の治療が始まって、その効果が出てくると、病状が落ち着いた状態がしばらく続きますが、完治は難しく、その後、再発する患者さんも少なくありません

多発性骨髄腫は一般に、MGUS(エムガス)あるいは“意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症”と呼ばれる前がん状態(がんほど悪性ではないが、いずれ、がんになる危険性がある状態)から始まると考えられています(図)。その後、くすぶり型または無症候性の骨髄腫と言われる症状のない時期を経て、症候性の(症状がある)骨髄腫へと移行していきます。現在、MGUSあるいは無症候性の骨髄腫のうちは治療不要とされており、症候性骨髄腫になった時点で治療を開始するのが一般的です。

図 多発性骨髄腫の経過
Durie BGM, 1992より改変(Concise Review of the Disease and Treatment Options. Multiple Myeloma. Cancer of the Bone Marrow 2011/2012 edition参照)

最初の治療が始まって、その効果が出てくると、寛解(かんかい)という状態(治療により、多発性骨髄腫の症状が軽くなったり消失した場合、あるいは骨髄腫細胞が減少したり消失した場合)、あるいは、寛解とまではいかなくても、ある程度病状が落ち着いた状態(プラトー)がしばらく続きます(図)。しかし、残念ながら、多発性骨髄腫を完治させることは難しく、その後、再発する患者さんも少なくありません。なかには、再発を繰り返す患者さんもいらっしゃいます。再発するまでの期間は患者さんによって異なり、数年の場合もあれば、半年以内に再発する場合もあります。

最近、診断時、1回目の再発時、2回目の再発時・・・と、病気の経過に伴って、骨髄腫細胞の性質がだんだん変化してくる場合があることがわかってきました(コラム)。そのため、再発するたびに骨髄の検査を行い、骨髄腫細胞がその時点でどのような性質をもっているのかを確認し、それに応じて適切な治療を選ぶ時代になりつつあります。今は、患者さんの年齢や状況を考慮しながら治療法を選んでいることも多いようです。

コラム
『骨髄腫細胞はその時々で性質が変わる?』

最近の研究によって、骨髄腫細胞にはいくつかのグループ(クローンと言います)があり、その1つが、病状の進行に伴って代わる代わる前面に出てくることがわかってきました。骨髄腫細胞は、まず骨髄腫幹細胞(こつずいしゅかんさいぼう)という骨髄腫細胞の赤ちゃんのような細胞が元となってできてくるのですが、その時に、たとえばAというクローンが中心となって前面に出てきます。その後、ここからBの方向に行く細胞やCの方向に行く細胞、あるいはBからCに行く細胞というように、枝分かれしながら進行していき、次の時点では別のDというクローンが前面に出るようになります。クローンによって性質が異なり、おとなしいクローンもあれば、悪いクローンもあります。その時々で、前面に出てくるクローンが変わりますので、その都度、骨髄の検査を行い、今、どのような性質をもったクローンが前面に出ているのかを確認することが重要と考えられています。