治療を続けていく中での検査値を知ろう

全身状態を知るための検査値

Q4.
「全身状態を知るための検査値」には具体的にどんなものがあるのでしょうか?
A4.
患者さんが日常生活の改善のための指標としやすいものとして、血球数、カルシウム値などがあります

全身状態を知るための検査値と日常生活における注意点・改善点

全身状態を知るための検査値には多くのものが存在します(Q2参照)。その中で、代表的なものとしては、血液の中の「血球数」の値があります。多発性骨髄腫は正常な血球をつくる働きを低下させますので、病状の悪化、またはお薬の副作用による影響で血球数が減ってきます。血球数の減少は患者さんにさまざまな症状・合併症を引き起こす可能性があります。

検査値の変動が起きた際に「患者さんご自身が合併症を起こさないように注意したり、日常生活を改善したりしやすいもの」をまとめましたので、ご参考にしてください。

白血球数(基準範囲:男性4.1〜6.1×103 /μL、女性3.9〜6.3×103 /μL)
白血球は、からだの中に入ろうとするウイルスや細菌などの病原体を攻撃して、侵入を防いでいます。白血球数が減ると病原体が体内へ入りやすくなり、感染症にかかる危険度が高まります。白血球数の値が基準範囲よりも低い時には、人混みを避け、手洗いやうがいを心がけましょう。

赤血球数(基準範囲:男性431〜565×104 /μL、女性378〜497×104 /μL)
赤血球は全身に酸素を運ぶ働きをしています。赤血球数が減ると貧血と呼ばれる酸素の欠乏状態を起こします。息切れや動悸、立ちくらみ、疲れやすいなどの症状があらわれます。赤血球数の値が基準範囲より低い時には、激しい運動は避け、立ち上がる時もゆっくりと立ち上がるなど、急な動作をしないよう気をつけましょう。

血小板数(基準範囲:男性13.1〜36.5×104 /μL、女性12.5〜37.5×104 /μL)
血小板は傷ついた場所に集まって出血を止める働きを持っていますので、血小板数が減ると出血しやすくなり、血が止まりにくくなります。皮膚の下の点々とした出血や青あざなどがみられるようでしたら血小板が減少している可能性があります。そのような症状があらわれたら、すぐに主治医と連絡をとるようにしてください。また、血小板数の値が基準範囲より低い時には、出血した際に血が止まりにくい状態になっていると考えられますので、皮膚を強く掻いたり、硬い歯ブラシで強く歯磨きをして歯茎を傷つけたりしないように注意しましょう。

カルシウム値(基準範囲:8.7〜10.3 mg/dL)および画像検査所見
多発性骨髄腫の患者さんはご高齢の方が多いのでもともと骨折をしやすい状態にあるのですが、多発性骨髄腫の病状が悪化すると骨の破壊が進み、その危険度がさらに高くなります。骨の破壊が進みますと、骨の中のカルシウムが血液の中に出てきてカルシウム値が高くなってきます。カルシウム値が基準範囲より高い時には骨折を引き起こしやすい行動をとらないようにしましょう。また、レントゲンなどの画像検査によって骨病変が認められている場合にも骨折の危険度は高い状態にありますので、同じく日常生活に注意が必要です。

骨折のほとんどは転んだ時に起こりますので、雨など天気が悪い時の外出時にはできる限りご自身で歩かず車を使う(通院の際も病院の入り口まで車で移動する)など、転ばないための工夫をしましょう。そして、脊椎の圧迫骨折も起こしやすくなります。脊椎の圧迫骨折は転んだ時に起こるとは限りません。たとえば、お孫さんを抱き上げたり、前屈みで荷物を持ち上げたりした時にも起こります。このような行動もできるだけ避けるようにしましょう。

基準範囲は独立行政法人国立がん研究センター中央病院のホームページより抜粋。ただし、検査法や検査を行う施設によって異なるため、上記の基準範囲は参考とし、各施設の基準に従ってください。