治療を続けていく中での検査値を知ろう

多発性骨髄腫そのものの病状を知るための検査値

Q3.
「多発性骨髄腫そのものの病状を知るための検査値」には具体的にどんなものがあるのでしょうか?
A3.
M蛋白の有無とその量の変化やアルブミン値、β2ミクログロブリン値などがあります

M蛋白の有無と量の変化

多発性骨髄腫そのものの病状を知るための検査値としては、診断時と同じく骨髄腫細胞からつくられる、「異常な免疫グロブリン(M蛋白)」の有無とその量の値があります。多発性骨髄腫に対する治療に効果が認められ、病状が軽快していれば、骨髄腫細胞が減ってきますので、M蛋白の量が減ってきます。逆に、多発性骨髄腫の病状が悪くなってくれば、骨髄腫細胞が増え、M蛋白の量は増加します。

M蛋白の有無と量の変化を知るためには、「血清蛋白分画(けっせいたんぱくぶんかく)」という検査を行います。血清蛋白分画は患者さんの血清(血液から血球などを取り除いたもの)の中に、「どの種類の蛋白質が、それぞれどのぐらい存在するか」を調べるための検査です。通常の場合、この検査では蛋白質は図1(a)のように「アルブミン」のみが高く「山」のような状態で確認することができます(山の高さ=その蛋白質の多さ)。一方で、多発性骨髄腫の患者さんで病状が悪化している状態だと、骨髄腫細胞によってつくられるM蛋白が多く存在しているため、図1(b)のようにアルブミンの他にM蛋白の山も高く認められるようになります。その後治療によって病状が軽快した場合は、図1(c)のようにM蛋白の山が低くなり、量が減ったことがわかります。

主治医の先生はこの検査結果を患者さんにお見せすることがあると思いますので、注意してお話を聞いていただくことで、ご自身のM蛋白の有無とその量の変化を視覚的に確認することができます。

図1 血清蛋白分画検査によるM蛋白量の変化

アルブミン値(基準範囲:3.7〜5.2g/dL)

アルブミンは蛋白質の1つであり、肝臓で作られ血液の中に存在しています。通常であれば血液の中の蛋白質の半分以上を占めます。アルブミン値は肝障害の有無と程度を知るための検査値で、多発性骨髄腫の病状が悪化し、肝臓の働きが悪くなった場合に低くなります。逆に、アルブミンの値が上がった場合は、病状が改善し、肝臓および全身の状態がよくなっていることをあらわしています。

β2ミクログロブリン値(基準範囲:0.68〜1.65mg/L)

β2ミクログロブリンもアルブミンと同じく蛋白質の1つです。腎臓に何らかの障害がある場合に尿の中で上昇する検査値ですが、多発性骨髄腫の患者さんでは血液内でこの値が上昇することがわかっています。アルブミン値とは逆に、このβ2ミクログロブリン値が上昇した場合は、多発性骨髄腫の病状が悪化している可能性があります。

診断時に多発性骨髄腫の病状がどの程度進行しているか(重症化しているか)を分類するための基準となる国際病期分類システム(ISS分類)(図2)に用いられるこの2つの検査値は、治療中の患者さんは興味を持たれないこともあるのですが、ご自身の今後の「病気の進行の可能性(予後)」に大きく関わる大切な検査値ですのでぜひ把握しておくようにしてください。なお、最近になって、ISS分類に、血清乳酸脱水素酵素(LDH)の検査値と特定の染色体異常を組み合わせたRevised ISS(R-ISS)分類も用いられるようになりました(図3)

基準範囲は独立行政法人国立がん研究センター中央病院のホームページより抜粋。ただし、検査法や検査を行う施設によって異なるため、上記の基準範囲は参考とし、各施設の基準に従ってください。
図2 国際病期分類システム(ISS分類)
図3 Revised ISS(R-ISS)分類