骨病変とつき合いながら日常生活を送るために

骨折の予防・治療

Q3.
骨折の予防や治療はどのように行うのですか?
A3.
骨折しやすい患者さん、あるいは骨折してしまった患者さんには、骨を固定する手術などを行っています

骨折の予防

レントゲン検査を行うと、骨が薄くなっている部位、つまり将来的に骨折しやすいと思われる部位がわかります。骨折しやすいと思われる患者さんには、できるだけ通常の日常生活を送っていただけるように、骨折を予防する手術を行うことがあります。たとえば長管骨(ちょうかんこつ;手足などにみられる細長い棒状の骨)に骨折が起こりやすい状態の患者さんでは、髄内釘(ずいないてい)という金属製の棒を骨の中心部に打ち込んで、弱くなった骨を固定する手術を行います。

骨折を予防するために手術を行うかどうかは、以下の点を血液内科の先生と検討しながら、判断しています。

①多発性骨髄腫の治療による効果がみられるか?
治療によって多発性骨髄腫そのものがよくなってくると、薄くなった骨がしだいに元に戻ってきますので、手術は行わずに経過をみるだけで十分だと思います。ただし、このような治療の効果が出るまでには最低でも数ヵ月を要しますので、その間に骨折を起こさないよう、手術を行って骨を補強する場合もあります。また、CT(シー・ティー)検査を行って、骨を輪切りにした状態の画像写真を撮ると、骨の中がどのくらい骨髄腫細胞で埋まっているかがわかります。もし半分以上が骨髄腫細胞で埋まっていれば、骨折しやすいと考えられますので、この場合も骨折を予防するための手術が必要となります。

②骨折しやすい部位はどこか?
骨折しやすい部位が足なのか腕なのかによって、予防のための手術が必要かどうかが変わってきます。たとえば、足は体を支える必要がありますので積極的に手術を行いますが、腕の場合は無理な動作をしなければ骨折を防ぐことができますので、手術は必ずしも必要ありません。

③化学療法中かどうか?
化学療法を行うと一時的に白血球が減少し、免疫力が低下しますので(基礎編「感染症にかからないために」Q1および基礎編「多発性骨髄腫の主な合併症と治療(後編)」Q3参照)、このような時期に手術を行うと感染の危険性が高くなります。化学療法と骨折を予防するための手術のどちらを優先させるのかは、病気の進行具合や症状などを含めて総合的に判断しなければなりません。

骨折の治療

骨折してしまった患者さんに対しては、整形外科で手術を行います。基本的に外傷性の骨折(骨に病気のない人が転倒などによって骨折する場合)と同じ手術です。ただし、外傷性の骨折の場合は、仮に何もしなくてもいずれ骨はくっつきますが、多発性骨髄腫の場合は骨の中が骨髄腫細胞で埋まっていますので、治療によって骨髄腫細胞が減少するまでは骨がくっつきにくいという特徴があります。したがって、たとえば骨折した部位を“添え木”で固定する際、多発性骨髄腫の患者さんでは、通常の骨折よりも長い期間固定する必要があります。

骨折の手術を行った患者さんでは、リハビリテーション(理学療法や作業療法)を行います。患者さんごとに、“感染の危険性はないか”、“他に骨折しやすい部位はないか”などを考慮しながら、理学療法士や作業療法士と協力して進めていきます。