お薬について知ろう

骨髄腫患者さんにおける日常生活での注意点

Q4.
お薬による治療を受けている骨髄腫の患者さんは、日常生活でどのような点に注意すればよいでしょうか?
A4.
感染症やしびれなどに注意し、気になる症状がみられたらすぐ病院に連絡しましょう

お薬の影響で、日常生活で気をつけることとは

白血球は私たちの体を異物から守る役目をもっていますが、多発性骨髄腫では正常な白血球がつくれなくなっている上に、お薬の影響で白血球がさらに減少してしまう場合があります。このような状態のときに外部から菌が入ると、感染症にかかりやすくなりますので、季節を問わず、うがい、手洗いを怠らないようにし、できればマスクを着用する、人混みを避けるなど、注意する必要があります。

また、お薬の影響で手足にしびれが出ることがあります。ある程度症状を抑えることはできますが、しばらくの間しびれが残ってしまう場合もありますので、うまくつき合っていくようにしましょう。足にしびれがある間は転ばないように気をつけ、できるだけ歩きやすい靴を履くことが大切です。

骨を治療するお薬を服用されている患者さんでは、事前に歯の治療をすませておくこと、歯磨きを欠かさずに口の中を清潔に保つことが大切です。もしこれらを怠ると、顎(あご)の骨が溶けるという症状が出てくる場合がありますので要注意です。このようなお薬を服用する際には、主治医の先生や薬剤師から注意点などについての説明があると思いますが、かかりつけの歯科医にも相談するようにしてください。

結婚される場合や妊娠の可能性がある場合など、環境に変化が生じた際には病院のスタッフに連絡しましょう。妊娠している患者さんでは、服用を止めた方がよいお薬があるからです。また、他の病気に罹り、他の診療科やクリニックで診療を受ける際には、今服用している骨髄腫のお薬について必ず伝えてください。新しくお薬が処方された場合には、“お薬手帳”を活用するとよいと思います。それと同時に、骨髄腫の治療を受けている病院の主治医や薬剤師に、別のお薬が処方されたことを必ず伝えましょう。

また、処方されたお薬をご家族などが誤って服用すると、重大な事故につながる恐れがありますので、お薬はきちんと保管し、他人にお薬を渡さないようにしましょう。

副作用の症状が出たら

多発性骨髄腫では、使い始めに皮疹(発疹)などの症状が出やすいお薬もあるようです。症状の出方には個人差があり、体の一部だけに出る場合と全身に出る場合があります。また、治療を続けていくなかで、しびれや便秘などがみられたり、2週間治療を続けても症状が何もみられなかったのに3週目になって突然症状があらわれたりすることがあります。気になる症状がみられたら、病院に連絡するようにしましょう。

飲み始めに副作用の症状が出てしまうと、そのお薬に対して怖いというイメージを抱いてしまいがちですが、副作用のなかには一時的であったり、お薬で治療や予防ができる場合があります。主治医の先生や薬剤師から十分な説明を受け、納得して治療を続けていくことが大切です。

多発性骨髄腫の患者さんのなかには、血液検査を行うと腎機能が悪くなっていたというケースがあります。腎機能が悪くなると、お薬が体内に長くとどまったり、血液の中のお薬の濃度が高くなったりし、副作用が出やすくなることがあります。腎機能が悪い患者さんでは、特に主治医や薬剤師の指示どおりに服用するようにしてください。

ご高齢の患者さんでは

多発性骨髄腫の患者さんにはご高齢の方が多いのですが、ご自身で病気のことも十分理解され、お薬の管理もしっかりされている方が多いようです。当院では、飲み忘れを防ぐために、“服薬カレンダー”(図)というものをお渡しして、「この日に飲んだら、○をつけてくださいね」など、正しく服用していただくためのアドバイスを行っています。カレンダーをお渡しすることによって、ご自分で飲まなければいけないという習慣ができますので、多発性骨髄腫以外のお薬も含めて、飲み忘れがほとんどなくなったという声をよく聞きます。

ご高齢で、寝たきりの患者さんでは、ご家族がお薬の管理をする必要があります。ご家族にも、お薬の管理方法や飲ませるタイミングなど、薬剤師からの説明を十分理解していただくことが重要だと思います。寝たきりの患者さんにお薬を飲んでいただく際に大切なのは、慌てずに、1個ずつ確実に飲んでいただくことです。

(柴谷直樹先生)

図 服薬カレンダー(神戸市立医療センター中央市民病院の例)