こころのサポート

多発性骨髄腫の診断を受けたら

Q1.
多発性骨髄腫と初めて診断されたとき、あるいは再発の診断を受けたときの心の状態と、その後の心の変化について教えてください
A1.
初めは衝撃を受けますが、2週間くらいで日常生活が送れるようになり、治療が始まると徐々に気持ちが落ち着いてきます

多発性骨髄腫と診断されると、心の変化が起こります。最初の2〜3日は直下型の大地震が起きたような衝撃に襲われます(図)。そして、「何かの間違いじゃないか」、「自分に限ってそんなことはないんじゃないか」、「毎日、食べ物にも気をつけて、健康にも気を配っているのに、病気になるはずがない」、「検査の間違いじゃないか」など、事実を受け入れたくないという“否認”の気持ちや、「なぜ自分が」という“怒り”がこみ上げてきます。その後も、部分的に受け入れながらも否認する気持ちは続きます。「自分の病気に限っては治るんじゃないか」、「Aという治療法は、自分には効果があるんじゃないか」と。人間は誰でも、衝撃的な出来事と向き合ったとき、まず目をつぶって否認をして、次に自分が乗り越えられるところだけを見つめ、希望につなげていこうとします。

図 がんの診断を受けたとき、一般にこのような心の変化をたどります

衝撃を受けてから2〜3日経つと、初めて不安やうつを自覚できるようになります。たとえば「眠れない」、「食べられない」といった体の変化に気がつきます。2週間くらい経つと、最低限の日常生活は送れるようになり、周囲には何事もなかったかのように映ります。はたから見ると日常生活に支障はありませんが、患者さんご自身は何も楽しいとは感じられず、落ち込んだ状態が続くのです。例えると、翌朝に出勤を控えた日曜日の夕方のような気持ちです。

体の回復に比べて、心の回復には長くかかります。多発性骨髄腫と診断されてから最初の半年くらいはどうしたらよいのかわからず、まるで滝つぼの中でもがいているように感じます。しかし、検査が一通り終わり、治療が始まって半年くらい経つと、滝つぼから抜け出し、自分が置かれている状況が徐々にわかるようになってきます。3〜4年経過すると、初めて「そう言えば、今日は夕方になってテレビをつけるまで病気のことを忘れていた」とか、「そう言えば、今週は病気のことをあまり考えていなかったな」と、ようやく気をゆるめられるようになってきます。

この頃になって初めて、病気になる前と、病気になった後の価値観が手を結んで、ようやく将来の見通しがもう一度立てられるようになります。患者さんにもよりますが、一般に、長期的な目標を立て直すには数年はかかると考えられています。

再発したときも、初めて診断されたときと同じような心の変化をたどります。ただし、診断時と比べて病気や治療に関する知識が身についていますから、診断時より心の落ち込みが深く、重くなるのが特徴です。治療を続けていくにあたり、どのような心の変化をたどって日常生活が送れるようになるか(図)、ということをあらかじめ知っておくと、自分なりに見通しを立てることができますので、覚えておくとよいでしょう。