治療の進歩と今後の展望

患者視点に立った医療

Q4.
患者さんの視点に立った医療とはなんですか?
A4.
それぞれの患者さんの視点に立って、治療方針を決めたり、支援体制を整えることなどです

最近、「患者さんの視点に立った医療」ということが盛んに言われるようになってきました。これは、患者さんの視点に立って、治療法や検査法を選ぶことです。たとえば、65歳以下の患者さんでは“元気になること”が第一の目標ですので、自家移植を含めて治療方針を考えることがほとんどです。一方、ご高齢の患者さんでは、“QOL(生活の質)をよくすること”を目標に治療方針を決める必要があります。ご高齢の患者さんでも、深い寛解を目指すことは大切ですが、お薬の副作用などによって日常生活が阻害されてしまっては本末転倒です。したがって、ご高齢の患者さんでは、副作用の症状が出ていないかどうかをこまめに確認しながら、治療の効果と副作用を天秤にかけて、折り合いをつけながら治療を進めていくことが大切だと思います。

また、患者さんの生活環境を考慮して治療方針を決めることも大切です。たとえば、細かい手作業を必要とするお仕事の患者さんでは、手のしびれなど、神経の障害が起こりにくいお薬を選択するなど、常に患者さんのQOLを考え、患者さんと相談しながら治療法を決めていく必要があります。

さらに、多発性骨髄腫の場合、非常にしっかりとした患者さんの会があります。インターネットなどを通して、いろいろな情報が飛び交っている時代で、正しい情報を正しく理解するには、患者会が非常に重要な役割を果たしています。患者会ではセミナーや講演会も開かれていますので、患者さん同士が話し合う機会もたくさんあります。多発性骨髄腫は患者さんによって症状や治療法などがまちまちですから、他の患者さんと話すことによって、「自分と同じような方もいらっしゃるんだ」と納得したり、誤解が解けたり、あるいは人と話すことによって気持ちが軽くなったりと、いろいろなメリットが期待できます。

また、病院によっては、がん支援室、がん相談支援センターなど、がん患者さんの支援体制が整っているところもあります。多発性骨髄腫に特化したものではありませんが、ここでは、医療ソーシャルワーカーなどが、がん患者さんの相談にのってくれます。また、患者さんの集まりを定期的に開いている病院もあります。患者さん同士が話し合い、そして悩みを分かち合える場は非常に大切だと考えています。