治療の進歩と今後の展望

最近の研究報告

Q3.
多発性骨髄腫の治療において、今、どのような研究が行われていますか?
A3.
効果に応じた治療法、無症候性骨髄腫の治療、自家移植の実施時期・実施対象などの研究が行われています

最近、国内外の学会で、多発性骨髄腫に関する研究報告は非常に増えており、学会場には入りきれないほどの研究者が集まり、熱い議論がかわされています。それだけ議論を必要とするテーマが多く、また研究の進歩も著しい分野です。以下に、専門家の間で注目されているトピックスをいくつかご紹介します。

効果に応じた治療法

お薬が増えたことで、初診の患者さんにも再発した患者さんにも治療選択肢が広がりました。それを受けて、すべての患者さんに同じ治療法を行うべきか、あるいは個々の患者さんごとに治療法を替えたほうがよいのかが議論されています。そのようななかで、“one size fits all”(万能の、包括的な)と呼ばれる方法が注目されています。これは、予後のよし悪しにかかわらず、どの患者さんも、1つのもっとも優れた治療法を用いて治療を開始し、その効果や患者さんの状態などに応じて、それ以降の治療法を考えるというスタイルです。

無症候性骨髄腫の治療

これまで、多発性骨髄腫の治療では、症状がみられてから治療を開始していました。しかし最近、症状がみられない、すなわち無症候性骨髄腫のなかで、のちに症候性(症状を伴う骨髄腫)に進行する危険性が高いと思われる患者さんでは、すぐ治療を開始したほうがよいのではないかという意見が聞かれるようになりました。最近の研究によると、1人の患者さんの体の中で、骨髄腫細胞はいくつかのグループ(クローンと呼ばれています)をつくっていて、おとなしいグループもあれば悪いグループもあり、それが治療の経過中に代わる代わる表に出てくることがわかってきました。もし無症候性骨髄腫の段階で治療を行えば、ひょっとしたら、おとなしいグループも悪いグループも一度に全部消失させることができるのではないかという考えが出てきているのです。

自家移植

自家移植を“いつ行うか”が検討されています。すなわち、はじめから移植を行ったほうがよいという意見もあれば、再発してからでもよいのではないかという意見もあります。また、現在は65歳以下の患者さんを対象に移植を行っていますが、65歳以上の患者さんに対しても移植を実施できるのではないかと、検討が進められています。実際、暦の年齢と生物学的な年齢に差がある、すなわち実際の年齢より若く見える患者さんもいらっしゃいますので、65〜70歳では自家移植を試みてもよいという意見がある反面、移植も化学療法も治療成績は同じであるという意見もあります。患者さんの意向も大切にし、移植を受けたいという希望があり、なおかつ移植に耐えられると主治医の先生が判断した場合には、移植を視野に入れて治療方針を検討するというものです。