治療の進歩と今後の展望

検査法における進歩

Q2.
多発性骨髄腫の新しい検査法を教えてください
A2.
最近、フリーライトチェーン検査や新しい画像検査が行われるようになりました

フリーライトチェーン(FLC)検査

最近、多発性骨髄腫の検査として、フリーライトチェーン(FLC)の測定が行われるようになりました。FLCは、日本語で「遊離軽鎖(ゆうりけいさ)」と言います。私たちの体は、抗体(免疫グロブリン)によって異物から守られています。抗体は、重鎖(ヘビーチェーン)と軽鎖(ライトチェーン)という2つの鎖が結合してできたものですが(図)、通常は細胞内で軽鎖のほうが多くつくられますので、重鎖と結合できなかった軽鎖は細胞外へ放出され、遊離軽鎖と呼ばれるようになります。抗体は、白血球の一種である形質細胞からつくられますが、多発性骨髄腫は形質細胞に異常が起こり、がん化する(骨髄腫細胞となる)病気ですので(「感染症にかからないために」Q1参照)、遊離軽鎖の量や種類が異常を示すようになります。これを計測するのがFLC検査です。

FLC検査によって遊離軽鎖の量や種類を計測することによって、病気の状態が正確にわかり、診断の精度が向上しました。また、治療を行っている患者さんでは、FLC検査によって、治療の効果をみることもできるようになりました。

図 抗体は重鎖と軽鎖からつくられていて、重鎖と結合できなかった軽鎖は細胞外へ放出されて遊離軽鎖となります

画像診断

もう1つ進歩がみられているのは画像診断です。骨髄腫は骨の中で島状に増殖し、病変をつくりますので、これが少なく、あるいは小さくなったかどうかを画像検査で判定し、治療の効果をみることができます。多発性骨髄腫ではこれまで、治療の効果はM蛋白(骨髄腫細胞でつくられる役に立たない抗体)の量が減ったかどうかで判断していました。ところが、治療によってこれらの検査値が正常になっても、PET(ペット)やMRI(エムアールアイ)という新しい画像検査を行うと、病変がまだ残っている場合があることがわかりました。このように、必要に応じて画像検査を行うことにより、治療の効果を正確にみることが可能になりました。今後、患者さんの状態によっては、これらの新しい画像検査を行う病院が出てくることが予想されます。

今後の展望

現在、ごく少ない骨髄腫細胞も検出する方法や骨髄腫細胞の遺伝子を検出する方法についても、研究が進められています。これらの検査法が実施できるようになれば、治療の効果をもっと詳しくみることができますので、その効果に応じて、患者さんごとにきめ細かな治療が行えるようになります。その結果、治療の効果がさらに高くなり、ひいては治癒につながることも考えられますので、検査法の進歩は非常に大切な意味をもっていると思います。