多発性骨髄腫の主な合併症と治療(後編)

感染症に対する予防・治療

Q3.
感染症を予防・治療する方法について教えてください
A3.
感染予防には、日常生活での予防が大切ですが、予防薬を使うこともあります。治療は、原因となる菌・ウイルスを特定し、それに見合ったお薬を用います。

予防

多発性骨髄腫のお薬のなかには、白血球の数を減らしてしまうものがあります。このようなお薬を使っている患者さんでは、主治医の先生から日常生活での注意点を指導される以外に、帯状疱疹や肺炎を予防するお薬を処方されることがあります。そのほか、一般に感染症の予防というとワクチンが思い浮かぶと思いますが、多発性骨髄腫の患者さんの場合、ワクチンが有効かどうかははっきりとわかっていません。ワクチンは、感染症の原因となるような細菌やウイルスの毒性を弱めたものですが、それを体の中に入れることで、あらかじめ免疫力(異物を攻撃する力)をつけておくという、いわば予行演習のようなものです。ただし、多発性骨髄腫の患者さんでは、もともと免疫(抗体)をつくる細胞に異常がありますので、ワクチンを接種しても反応が起こりにくく、予行演習をしてくれませんので、ワクチンの効果があるかどうかがわからないのです。したがって、ワクチンを打ったから大丈夫だと思って感染予防を怠ると、感染症にかかってしまう危険性があります。ワクチンを打ったとしても、通常の予防(マスク、うがい、手洗い)は必ず行い、感染症にかかっている人には近寄らないことが大切です。一方、ご家族や周りの方はワクチンを打って、感染症を予防された方がよいと思います。なお、ワクチンは生の菌を体に入れるわけではありませんので、接種することで感染症にかかることはありません。

そのほか、抗がん剤のようなお薬を大量に投与する場合や、移植を行う場合には、白血球のなかの好中球(こうちゅうきゅう)という細胞が減ってしまいます。好中球も体の中に入ってきた異物を攻撃する役目をもっています(「感染症にかからないために」Q1参照)。治療によって好中球が減った時に起こしやすい感染症を予防するには、G-CSF(ジーシーエスエフ)という好中球を増やすお薬を使うことがあります。

治療

日常の感染予防に注意していれば、感染症にかかる危険性はあまりないのですが、多発性骨髄腫の患者さんの場合、いったんかかってしまうと、悪化しやすい傾向にあるようです。したがって、2〜3日経っても咳や下痢などの症状がよくならない時は、必ず病院に連絡をするか、もしくは受診して適切な検査、治療を受けるようにしてください。我慢しないことが大切です。病院では、感染症の原因を調べるためにまず血液検査を行います。血液検査によって、感染症の原因が細菌なのか、真菌(カビ)なのか、あるいはウイルスなのかが区別できることもあります。さらに、原因となった菌・ウイルスを絞り込むためには、より詳しい血液検査や画像検査(レントゲンやCT検査)、培養検査などを行います。原因となった菌・ウイルスが特定できれば、それに見合ったお薬で治療を行うことが可能です。