多発性骨髄腫の主な合併症と治療(前編)

腎機能の低下に対する治療

Q4.
腎機能の低下を改善する方法を教えてください
A4.
できるだけ早く多発性骨髄腫の治療を開始するとともに、水分を補うこと、利尿、一時的な透析が効果的です

腎機能が悪くなっていると判断された患者さん(クレアチニンの値であれば2mg/dL以上)では、多発性骨髄腫そのものの治療を開始します。腎臓の機能は、治療がうまくいけばもとに戻ることが多いのですが、治療が遅れてしまうと回復が遅くなりますので、できるだけ早く治療を開始するとよいでしょう。腎機能の低下に対しては、まずは脱水を避ける目的で、“お水をたくさん飲んでいただく”、“補液(点滴)によって水分を補う”といったことを行います。お水をたくさん摂れば腎臓の血流が多くなり、尿がたくさん出ますので、腎臓の機能がよくなっていきます。補液の中身は一般的に生理食塩水で、患者さんの体格や腎機能、ご自分できちんと水分を摂ることができるかどうかなどによって量を調節しています。また、特にむくみのある患者さんなどでは、尿をたくさん出すために、利尿剤(りにょうざい)というお薬を使うことがあります。

そのほかに、透析(とうせき)という治療を行う場合があります。腎臓の機能が悪くなると、体(血液)の中にカリウムなどの悪い物質がたまっていきますので、機械の力を借りて、これらの物質を排出させる方法が透析です。腎臓の機能がかなり悪くなってしまった段階では、長期間にわたって透析を行わなければなりませんので、主治医の先生の判断に従って、早めに透析を行ったほうがよいでしょう。また、透析というと一生続けなければならないというイメージがありますが、多発性骨髄腫そのものの治療によって腎臓の機能がよくなってくれば、透析をやめることも可能です。

もう1つ、腎臓の機能を悪くさせる原因として、腫瘍崩壊症候群(しゅようほうかいしょうこうぐん)というものがあります。これは、抗がん剤が効きすぎて一気に腫瘍細胞(骨髄腫細胞)が壊れて、その壊れた細胞から悪い物質が出ることをいいます。多発性骨髄腫に限らず、他の種類の腫瘍でも起こります。このような患者さんでは、一時的な透析が必要になりますが、腎臓の機能がもとの状態に回復すれば、透析をやめることができます。また、この悪い物質の中には尿酸という物質が含まれています。腫瘍崩壊症候群になる危険性の高い患者さん(腫瘍の量が多い患者さんなど)では、予防の目的で、あらかじめ尿酸を抑えるお薬を使うこともあります。

リンク(腎機能の低下については、「多発性骨髄腫で腎障害が起こるのはなぜ?」へ)