多発性骨髄腫の主な合併症と治療(前編)

骨病変に対する治療

Q3.
骨病変を治療する方法について教えてください
A3.
まずは鎮痛剤や放射線治療で痛みを和らげることが大切です。骨を強くするために、ビスホスホネート製剤というお薬を使うこともあります

骨病変がみられれば、多発性骨髄腫の治療を開始しますが、骨に痛みがある場合は、まず鎮痛剤(ちんつうざい)(痛み止め)を使います(表)。痛みがあると、患者さんの日常生活が損なわれますので、痛みを和らげる治療はすぐにでも始める必要があります。骨に大きな病変があったり、腫瘤(しゅりゅう)(骨髄腫細胞が大きな固まりやこぶをつくること)があったりすると、鎮痛剤だけでは効果が低いため、放射線治療を行って痛みを和らげる場合もあります。放射線治療は、痛みを和らげるだけでなく、腫瘍そのものを縮小させる効果も期待できます。また、通常の鎮痛剤で効果が不十分な場合には、医療用麻薬を積極的に用います。なかには、最初から医療用麻薬を使う患者さんもいらっしゃいます。麻薬というと抵抗感があるかと思いますが、多発性骨髄腫そのものの治療が進むにつれて痛みがとれていきますので、多くの患者さんは数ヵ月で医療用麻薬を使わなくてもすむようになります。主治医の先生に医療用麻薬を勧められたら、「麻薬なんて」と拒否反応を示さずに、まず痛みをしっかりとって、多発性骨髄腫の治療を進めていきましょう。

表 鎮痛剤にはいろいろな種類があります

多発性骨髄腫の患者さんでは、NSAIDs(エヌセイズ)という非ステロイド系の鎮痛剤を使う際に少し注意が必要です。飲み過ぎると腎臓の機能が低下する可能性があります。多発性骨髄腫の患者さんでは腎機能が悪くなっている場合が多いため、NSAIDsを使うのはむずかしいとされています。鎮痛剤の使い方としては、いくつかのお薬を組み合わせたり、あるいは弱い鎮痛剤と医療用麻薬を組み合わせたりすることが多いようです。

骨病変に対しては、ビスホスホネート製剤というお薬もよく使います。ビスホスホネート製剤は、骨が溶けるのを抑えて、骨折を予防し、骨の痛みを和らげる効果などがあります。ただし、腎臓の機能が悪くなっている患者さんでは、ビスホスホネート製剤の量を調節するなどの必要があります。また、ビスホスホネート製剤では、ごくまれに(2〜3%の患者さん)、顎(あご)の骨が溶けてしまう顎骨壊死(がっこつえし)という副作用が起こることが知られています。顎骨壊死になる確率は、ビスホスホネート製剤を使っている途中で抜歯などの外科的な歯科治療を行うと、高くなるといわれています。したがって、ビスホスホネート製剤を使い始める前には歯科のチェックをしっかり行い、もし歯の治療が必要であれば、先に終わらせておいた方がよいでしょう。ビスホスホネート製剤を使っている間は、特に症状がなくても、1年に2回くらいは歯科のチェックをするとよいと思います。

そのほか、圧迫骨折をした部位にセメントを充填(じゅうてん)する(詰める)など、骨の病変に対し、外科的な処置を行う場合もあります。

リンク(骨病変については、「骨を守るために」へ)