多発性骨髄腫と似ている病気

原発性マクログロブリン血症とは

Q3.
原発性マクログロブリン血症とはどのような病気ですか?
A3.
分子量の大きなM蛋白が血中に増加し、血液がドロドロになるために、様々な症状が引き起こされる病気です

病気の特徴

原発性マクログロブリン血症は多発性骨髄腫ではありませんが、M蛋白が増えるという共通点があります。ただし、作られるM蛋白は多発性骨髄腫のようにIgG型やIgA型ではなく、IgM型です(多発性骨髄腫ではIgM型はまれにしかみられません)。IgM型のM蛋白は抗体が5つつながった形をしているため、IgG型やIgA型に比べて分子量が大きいという特徴があります(図1)。そのため、IgM型のM蛋白が血中に増加すると血液がドロドロになってしまいます。この状態を過粘稠度症候群(かねんちょうどしょうこうぐん)と言います。血液がドロドロになると、頭への血のめぐりが悪くなり、頭が重い、頭痛・耳鳴り・目まいがするなどの症状がみられるようになります。また鼻出血がみられたり、進行すると貧血がひどくなることもあります

図1 抗体の主な種類

多発性骨髄腫と明らかに違う点は、骨髄腫が形質細胞(抗体を作る細胞)の腫瘍であるのに対し、原発性マクログロブリン血症は、B細胞(形質細胞になる1つ手前の細胞)の腫瘍であるということです(図2)。どちらかというと悪性リンパ腫に近い病気と考えられています。そのため、多発性骨髄腫に特有の骨病変や腎機能障害などはほとんどみられません。

図2 血液中に含まれる血球や細胞の成り立ち

原発性マクログロブリン血症は、ほかの悪性リンパ腫と比べて高齢の患者さんが多く、60~70歳代の患者さんが多いという印象です。

治療

治療は、多発性骨髄腫のように形質細胞の腫瘍を標的にするのではなく、B細胞を標的とした悪性リンパ腫の治療が中心になります。治療を行えば、M蛋白が正常値近くまで下がることもあります。造血幹細胞移植に関しては、あまり効果が得られないという印象です。そのほか、M蛋白が急激に上昇して過粘稠度症候群が急速にひどくなる危険性がある場合には、まず血漿交換(けっしょうこうかん)を行って、血中のM蛋白を十分に下げてから治療を行った方がよいと言われています。

日常生活で注意すること

原発性マクログロブリン血症は、合併症がさほどひどくないため、日常生活で注意することはほとんどありません。ただ、M蛋白が作られますので、代わりに正常なガンマグロブリン(抗体)が減少し、免疫機能が低下している可能性があります。そのため、風邪などの感染症に気をつけることが大切です。

コラム
『そのほかに多発性骨髄腫と似ている病気とは』

悪性リンパ腫のなかにはM蛋白がみられるものがあります。しかし、多発性骨髄腫とは異なり、主な症状は悪性リンパ腫に特有のリンパ節腫脹(リンパ節が腫れること)です。そのほか、発熱や盗汗(寝汗をかくこと)、体重減少などがみられます。

また、前述の原発性マクログロブリン血症やIgM型MGUSのように、M蛋白の値がさほど上昇していない患者さんのなかに、IgMから作られる抗myelin associated glycoprotein抗体(抗MAG抗体)をもっている方がみられます。抗MAG抗体は末梢神経障害を引き起こし、歩行障害や感覚障害をもたらします。この病気はまだあまり知られていませんが、発見されていない患者さんが少なからずいるのではないかと思います。まずはしっかり診断することが大切です。