多発性骨髄腫で腎障害が起こるのはなぜ?

多発性骨髄腫と腎障害

Q2.
多発性骨髄腫では、なぜ腎障害になりやすいのですか?
A2.
骨髄腫細胞から出るM蛋白という蛋白質が、腎臓の機能を悪くさせるからです

骨髄腫細胞からは、M蛋白と呼ばれる蛋白質や、患者さんによってはM蛋白よりももっと小さな蛋白質(小蛋白質)が出ています。これらの蛋白質が体の中に増えると、いろいろな悪さをするようになります。その1つが腎臓の機能を悪くさせることです。M蛋白は血液といっしょに腎臓まで運ばれますが、糸球体に引っかかり、そこに沈着するため、老廃物がうまくこし出せなくなり、腎臓の機能が低下してしまいます(Q1の図を参照してください)。一方、小蛋白質の場合は、糸球体には引っかからずに尿細管まで達しますが、尿細管に蓄積したり、目詰まりを起こしたりしますので、やはり腎臓の機能が低下します。このように、多発性骨髄腫によって腎障害が起こる原因には、いくつかあります。

また、発熱や下痢による脱水がきっかけで、腎障害が進んでしまう場合がありますので、脱水にはくれぐれも注意が必要です。特に冬場はなんらかの感染症による発熱、夏場は食中毒などによる下痢を起こさないように注意しましょう。

そのほか、鎮痛剤(ちんつうざい)(痛み止め)、抗生剤(こうせいざい)、造影剤(ぞうえいざい)といったお薬の影響で腎障害が起こる可能性もあります。多発性骨髄腫と診断されていれば、服用するお薬に注意する必要があります。多発性骨髄腫による腎障害だけなら、骨髄腫そのものの治療を行うとよくなっていくのですが、そこにお薬の影響や脱水が加わると、腎臓の機能は再生不能なところまで悪化してしまうことがあります。鎮痛剤のなかには、腎臓を守りながら痛みを抑えてくれるお薬もたくさんありますので、勝手に判断しないで主治医の先生の指示に従って服用してください。また、造影剤は、CT検査などを行う際、悪い部分がよく見えるようにするためのお薬ですが、腎機能が悪くなっている患者さんではなるべく使わない方がよいと思います。そのほか、血圧を下げるお薬のなかにも、腎機能を悪くさせるものがありますので、主治医の先生の指示を仰ぎながら、注意して服用する必要があります。さらに、見落とされがちなのはビタミンD製剤です。骨粗鬆症があると、ほとんどの方がビタミンD製剤を飲みます。しかし、多発性骨髄腫の患者さんがビタミンDを飲むと尿の中にカルシウムが増えていきます。これが腎臓に沈着すると、腎機能の悪化を招く恐れがありますので、注意が必要です。必ず、主治医にご相談ください。

〜『木崎昌弘編集、多発性骨髄腫治療マニュアル、南江堂』より