多発性骨髄腫の患者さんによくみられる腎障害について、なぜ腎障害が起こるのか、また腎障害を悪化させないためにはどのようなことに注意すればよいのかなどを、金義浩先生(NTT西日本大阪病院血液内科部長)にわかりやすく解説していただきました。

基礎編

多発性骨髄腫で腎障害が起こるのはなぜ?

金義浩 先生
NTT西日本大阪病院血液内科部長

先生からのメッセージ

腎障害の治療を積極的に受け、わからないことがあったら、ためらわずに主治医の先生に相談しましょう

多発性骨髄腫は通常のがんとは違い、どちらかというと慢性疾患に近い病気です。長くつき合わなければならない病気ですから、一気に治そうとか、少々の無理をしてでも短期間で治そうなどとは思わずに、じっくり治療に臨んでいただきたいと思います。

多発性骨髄腫では、いろいろな症状が出ます。腎障害(腎臓の機能が悪くなって、いろいろな障害が起こること)もその1つです。たとえ腎障害が起こったとしても、前向きな気持ちで積極的に治療を受けていただきたいと思っています。たとえば急性の腎不全になって、主治医の先生が「透析(とうせき)をした方がよいですよ」と勧めても、多くの患者さんは、透析と聞くだけで「嫌だ」と思ってしまうようです。透析と言っても生涯にわたって定期的に受けなければならない透析ばかりではありません。多発性骨髄腫による腎障害は、腎炎や糖尿病が原因の腎障害とは違います。多発性骨髄腫の患者さんの場合、1〜3週間というごく短期間の一時的な透析を受けるだけで腎臓の機能が回復し、症状が軽くなるケースがたくさんあります。透析も含めて、腎障害の治療には大変なこともありますが、骨髄腫の治療にもつながる大事な治療ですので、積極的に受けてほしいと思います。

腎障害について、もう1つ大切なことは、日常生活でも患者さん自身で気をつけることで症状を軽くしたりすることができるということです。たとえば“水分を補給する”、“塩分を控える”、“鎮痛剤(ちんつうざい)(痛み止め)は慎重に用いる”などです。ただ、わからないことがあったら、遠慮せずに主治医の先生に相談するようにしてください。「先生は忙しそうだから、話を聞いてくれないのではないか」と気を遣って、わからないことを聞けずにいる患者さんが多いようですが、どの先生も患者さんからの“気になるメッセージ”は拾ってくれるはずです。多発性骨髄腫はなかなか理解しづらい病気ですから、わからないことがあっても無理はありません。わからなくても自分のせいにせず、ためらわずに主治医の先生に相談してみましょう。