自家造血幹細胞移植ってどんな治療?

自家造血幹細胞移植の流れ

Q3.
自家造血幹細胞移植はどのようにして行うのですか?
A3.
大量の抗がん剤により骨髄腫細胞を死滅させた後、保存しておいた造血幹細胞を体内に戻し、造血幹細胞が生着して造血機能が回復するのを待ちます

自家造血幹細胞移植の流れについて、ご説明します(図2)

(1)抗がん剤などの治療で骨髄腫細胞をできる限り減らしてから、造血幹細胞を採取します

造血幹細胞を採取する前に抗がん剤や新規薬剤を使って、骨髄腫細胞をできる限り減らすための治療(寛解(かんかい)導入療法と言います)を行います。その後、患者さん自身の血液から造血幹細胞を採取します。通常、造血幹細胞は骨髄の中に存在するのですが、抗がん剤による治療後、減少した白血球が回復してくる時期に、白血球をつくるのを促進する薬剤を投与すると、造血幹細胞が骨髄中から血液中に出てきます。そのタイミングを見計らって、血液中から造血幹細胞を採取します。

造血幹細胞の採取は、両肘の静脈に採取用の針を刺して、ベッドに寝た状態、またはリクライニングチェアに腰かけた状態で行います。順調に進めば、1日3時間くらいの採取を2〜3日間行うことで、多くの患者さんで移植に必要な量の造血幹細胞を採取できます。採取した造血幹細胞は凍結保存しておきます。

なお、白血球をつくるのを促進する薬剤の投与により、腰痛などの副作用があらわれることがありますが、鎮痛薬で軽くすることができますし、時間がたてば消失します。

(2)大量の抗がん剤により骨髄腫細胞を死滅させます(大量化学療法)

大量の抗がん剤を投与して、骨髄腫細胞を死滅させます。抗がん剤は2日間にわたって点滴することが多いと思います。抗がん剤の副作用により、吐き気や脱毛のほか、口の中や消化管の粘膜の障害による口内炎やのどの痛み、腹痛、下痢などがあらわれることがあります。そのほか、卵巣や精巣の障害により不妊になる可能性もあります。

なお、大量の抗がん剤投与から、造血幹細胞を移植し、造血機能が回復するまでは、免疫力が非常に低下した状態になりますので、入院して無菌室などで感染症に注意しながら過ごします。

(3)造血幹細胞を体内に戻します(自家造血幹細胞移植)

抗がん剤の投与が終わり、投与した抗がん剤が体外に排泄(はいせつ)された後に、凍結保存しておいた患者さんの造血幹細胞を解凍して体内に戻します。移植と言っても、造血幹細胞を含む液体を点滴で体内に戻すだけですので、通常、1時間以内に終わります。なお、移植後に身体から造血幹細胞を解凍して体内に戻すときの独特の臭いがすることがありますが、数日で消失します。

(4)造血幹細胞の造血機能が回復するのを待ちます(生着)

移植した造血幹細胞が患者さんの体内で造血機能を回復し、血液細胞が増えてくることを生着(せいちゃく)と呼びます。生着するまでの期間は、移植後およそ11日前後です。生着するまでは感染症にかかる危険性が高いので、特に注意が必要です。生着は自家造血幹細胞移植が成功するために乗り越えなくてはならない壁、いわば第一ハードルです。

(5)食事が摂れるようになれば退院です

血液細胞が安定して増加し、感染症や内臓機能などに問題がなく、食事が摂れるようになれば退院です。一般的には、移植後1ヵ月くらいで退院となることが多いです。ただし、完全な免疫力や内臓機能の回復には数ヵ月から数年を要すると言われていますので、退院後も、感染症などに注意し、経過を注意深く見守っていく必要があります。

図2 自家造血幹細胞移植の流れ(造血幹細胞の採取から退院まで)