自家造血幹細胞移植ってどんな治療?

自家造血幹細胞移植とは

Q1.
自家造血幹細胞移植とは、どのような治療ですか?
A1.
多発性骨髄腫の原因となる骨髄腫細胞を抗がん剤で死滅させた後、あらかじめ採取しておいた自分の造血幹細胞(血液をつくる細胞)を戻す(移植する)ことにより、正常な造血機能を回復させる治療です

血液細胞には赤血球、血小板、白血球の3種類がありますが、これらの血液細胞は、骨の中の骨髄において、“造血幹細胞”という血液のもとになる細胞からつくられています(図1)

図1 血液細胞のもとになる細胞が造血幹細胞です

多発性骨髄腫では、白血球の一種に異常が起こり、骨髄の中で骨髄腫細胞と呼ばれる腫瘍細胞が増え続けます。骨髄腫細胞は、身体に有害な異常な蛋白(M蛋白と言います)をつくり続け、多発性骨髄腫に特有のさまざまな症状(骨の痛みや骨折、貧血、腎臓の機能の低下など)があらわれます。そのため、体内にある骨髄腫細胞をできる限り減らすことが治療の基本となります。

抗がん剤を用いれば、骨髄腫細胞を減少させることはできます。しかし同時に抗がん剤は、正常な血液細胞も減らしてしまうという副作用があります。このような副作用を骨髄抑制と呼びます。そのため、大量の抗がん剤を使用し骨髄腫細胞を減少させることは、多発性骨髄腫に効果がある一方で、非常に強い骨髄抑制があらわれるという、大きな問題点がありました。

そこで、新しい治療法として造血幹細胞移植が開発されました。造血幹細胞移植では、一時的に大量の抗がん剤を用いて骨髄腫細胞を死滅させ(大量化学療法と言います)、その後に造血幹細胞(血液をつくる細胞)を移植します。移植された造血幹細胞が働き始めると、正常な血液細胞のみが増加するので、この病気の回復が期待できます。造血幹細胞移植には、あらかじめ自分の造血幹細胞を採取しておき、大量化学療法の後に体内に戻す“自家移植”と、他人の造血幹細胞を移植する“同種移植”がありますが、多発性骨髄腫に対しては、高い効果が認められている自家移植が勧められています。

自家造血幹細胞移植が広く行われるようになり、多発性骨髄腫の治療成績は大きく向上しました。