多発性骨髄腫の治療について正しく知っていただくために、どのような治療があるのか、また治療の目標などについて、角南一貴先生(独立行政法人国立病院機構岡山医療センター血液内科医長)にわかりやすく解説していただきました。

基礎編

どんな治療があるの?

角南一貴 先生
独立行政法人国立病院機構
岡山医療センター血液内科医長

先生からのメッセージ

治療の選択肢が増えていますので、希望をもって前向きに治療を続けましょう

多発性骨髄腫はゆっくりと進行する病気なので、高血圧や糖尿病などと同じように長くつき合っていくことになります。骨髄腫細胞を完全に消失させて治癒(ちゆ)することは難しいのですが、この10〜20年あまりの間に治療法が大きく進歩したことを実感しています。以前は、抗がん剤による治療が唯一有効な治療法でしたが、1990年代の半ばに自分の血液細胞のもとになる細胞(造血幹細胞)を移植する“自家造血幹細胞移植”という画期的な治療法が開発されました。そして、1990年代の後半から2000年代に入って、従来の抗がん剤とは異なる作用をもつ新しいお薬(新規薬剤)が開発されたことで、治療成績がさらに向上しました。現在では、新規薬剤などを使って根気強く治療を続けることで、病気とうまくつき合いながら、日常生活の質(クオリティー・オブ・ライフ、QOL(キューオーエル)とも言います)を維持し、毎日をよい状態で長く過ごすことができるようになってきています。

こうしているうちにも、多発性骨髄腫の治療薬の開発は着実に進んでいます。将来は、さらにお薬の種類が増え、もっと多くの選択肢のなかから、一人ひとりの患者さんに合った治療を選べるようになると考えられています。ですから、“病気と気長につき合う”という心構えで、希望をもって前向きに治療を続けていただきたいと思います。