感染症にかからないために

感染症の予防

Q3.
感染症を予防するために、日常生活における注意点を教えてください
A3.
細菌、ウイルス、カビなどが体の中に入り込まないように、風邪の予防や衛生面での注意が必要です

かかりやすい感染症の1つに風邪があります。風邪はほとんどの場合、人から移りますので、まずは人混みを避けることが大切で、帰宅したら手洗いやうがいをしましょう。マスクは、冬はもちろんのこと、夏でも必要に応じてつけた方がよいと思います。

また、冬はインフルエンザが流行しますので、注意が必要です。インフルエンザにかかると、ウイルスによって粘膜、気管支や肺胞(はいほう)(肺の中にある小さな袋状の組織)などが荒れてしまい、外からの異物に対する抵抗力がさらに弱くなります。そうなると、細菌が体の中に入ってきてしまいますので、もし何らかの症状があった場合にはすぐ受診するようにしてください。インフルエンザや肺炎球菌の予防注射(ワクチン接種)については、多発性骨髄腫の患者さんの場合どれくらい効果が期待できるかはっきりとわかっていません。一般的に、ワクチンを打つと、ワクチンに対する免疫(抗体)ができ、インフルエンザのウイルスが入ってきてもそれを攻撃することができます。しかし多発性骨髄腫の患者さんでは、もともと免疫をつくる細胞が弱くなっていますので、ワクチンを打つことが効果的かどうか断言できません。あるワクチンでは4割程度の患者さんしか免疫ができないという報告もあります。ただ、まったく効果がないとも言い切れませんので、患者さんの希望があれば許可しています。また、ご家族がインフルエンザにかかってしまうと患者さんにも移りますので、可能であればご家族は打った方がよいと思います。いずれにせよ、ワクチン接種は主治医の先生と相談してから行うようにしましょう。

多発性骨髄腫ではすべての病原体に対する免疫力が低下していますので、細菌やウイルスだけでなく、真菌(しんきん)(カビ)による感染も起こりやすくなります。カビによる感染のなかで特に厄介なのは、アスペルギルス症です。これは、アスペルギルスというカビによって引き起こされる病気で、主に呼吸器に症状がみられます。カビの胞子(ほうし)は、特に古い建物を解体したり、家を改装したりする際に発生しやすいとされています。したがって、できるだけそのような場所に近づかないことが望ましいのですが、やむを得ない場合はマスクをしっかりつけることが大切です。

お薬による治療を受けている患者さんでは、お薬の影響で下痢や便秘を起こす場合があります。下痢を繰り返していると肛門や腸の粘膜が荒れ、そこから腸内細菌、いわゆる悪玉菌(あくだまきん)が腸管外へしみ出てしまうことがあります。一方、末梢神経障害から手足のしびれだけでなく、頑固な便秘を来すことがあります。下痢がなかなか治らない場合や便秘が3〜4日続く場合には早めに受診するようにしましょう。また便秘になって力んだりすると、肛門が切れてしまったり、痔になったりと、感染症の引き金になる場合がありますので、便秘が続く場合は主治医に伝えてください。

そのほかに大切なことは、白血球数が低く主治医から指示があったときには生ものを食べないようにすること、体を清潔に保つこと(ただし、公衆浴場や温泉などは主治医の指示に従ってください)、部屋の中をきれいにすることなどです。また、ビスホスホネート製剤や抗RANKL抗体で高カルシウム血症や骨病変の治療を受けている患者さんでは、歯の衛生を保たないと、顎(あご)の骨が腐ってしまうこと(“顎骨(がっこつ)壊死(えし)”と言います)があります。そうなると、そこから細菌が感染することがありますので、ていねいに傷つけない程度に歯磨きをして、口の中や歯を清潔に保っておくことが大切です。また、治療をしていない虫歯や歯槽(しそう)膿漏(のうろう)があっても顎骨壊死を起こしやすくなりますので、主治医と相談の上、歯の治療を行うようにしましょう。

以下のに、感染症を予防するために日常生活で注意しなければいけないことをまとめましたので、参考にしてください。

表 感染症を予防するために、日常生活で注意しなければいけないことがあります