多発性骨髄腫の患者さんにとって関心の高い感染症について、なぜ感染症にかかりやすいのか、またどのように感染症を予防したらよいのかなどを、赤塚美樹先生(藤田保健衛生大学医学部血液・化学療法科臨床教授)にわかりやすく解説していただきました。

基礎編

感染症にかからないために

赤塚美樹 先生
藤田保健衛生大学医学部
血液・化学療法科臨床教授

先生からのメッセージ

感染症予防に対する認識をしっかりもって、日頃の注意を怠らないようにしましょう

多発性骨髄腫は、非常に長いおつき合いになる病気です。ただ、今はよいお薬がどんどん開発されていますから、長い闘病とは言っても、病気の状態がよく元気に過ごせるときが十分あります。しかし、それを邪魔するのが感染症などの合併症です。特に感染症にかかると、予定どおり治療が行えなかったり、あるいはせっかくうまくいっていても、無理をした結果、入院しなければならなかったりする場合があります。ですから、もともと体力に自信があった方でも、『病気そのものによって免疫力が落ちること』、そして、『治療に付随してさらに免疫力が落ちること』をよく理解し、無理をすることは禁物です。

しかし、だからといって何もできないというわけではありません。治療の合間など、普段とほとんど変わらない生活ができるタイミングがあります。そういうときにはストレスを発散して、普通の生活を楽しんでいただきたいと思います。ただし、感染症が起こるとこじれやすいということを心の片隅に覚えておいていただいて、主治医からの指示を守り、感染症が疑われる症状が出たときにはすぐ受診するなどの対応が必要です。どの病気でもそうですが、早期に見つかった方がよいことは同じです。風邪症状が肺炎の始めであることも経験されます。そのため、「自己判断は危険なこともありますよ」とお話ししています。熱などの感染症状が出てきた場合、まずは1〜2日注意深く様子をみて、悪化するようであれば、すぐ受診した方がよいでしょう。次の受診まで少し間があるようなときには、まず病院に連絡し、主治医からの指示を聞かれる方がよいと思います。もし主治医から発熱時用の抗生物質が処方されている場合は、服薬しながら3日ほど様子をみることも可能ですが、「今は白血球が減っている時期だから要注意ですよ」と主治医から言われているような場合は、大事をとって早めに受診することが大切だと思います。

最後に、受診時のアドバイスを2つ。主治医から検査結果について説明があるときは、注意すべき異常値があるかどうかをよく聞くようにしましょう。そうすると、何か症状が出たときに“今のこの症状は深刻に考えた方がよいのか、あるいは心配しなくてもよいのか”という判断がある程度できます。もう1つ、その時々の自分の免疫力の状態について、“今は何をしてよいのか”、あるいは“何をしてはいけないのか”をすすんで聞いていただけると、医師側も指導がしやすくなります。

感染症を予防するお薬もあるのですが、すべての感染症をカバーできるわけではありません。やはり患者さん自身が予防に対する認識をしっかりもって、“自分で自分を守るしかない”という心構えでいていただきたいと思います。多発性骨髄腫では、病気と長く上手につき合っていくために、日頃の注意を怠らないことが重要です。