検査値を知る

多発性骨髄腫の分類に必要な検査

Q2.
多発性骨髄腫は、どのように分類されますか?
A2.
検査値によって、症状があるタイプとないタイプに分類できます

多発性骨髄腫には、大きく分けて、症状があるタイプ(症候性(しょうこうせい)と言います)とないタイプ(無症候性(むしょうこうせい)と言います)があります(表2)。多発性骨髄腫と診断されても、症状がないタイプでは必ずしもすぐに治療を開始する必要はありません。症候性であるか無症候性であるかを見きわめるには、M蛋白の量、骨髄腫細胞の割合、そして臓器障害の有無を検査する必要があります。骨髄腫細胞の割合は、骨髄穿刺(せんし)と言って、骨に針を刺して骨髄液を吸引し、計測します。

表2 多発性骨髄腫は症状があるタイプとないタイプに分けられます(IMWG分類2003年)

臓器障害の目安としてよく用いられているのは“CRAB(クラブ)”です。Cはカルシウム(calcium)値の上昇、Rは腎臓(renal)の障害、Aは貧血(anemia)、Bは骨(bone)の病変を意味しています。私の施設では、無症候性の患者さんに対しては、だいたい3ヵ月に1回くらいの頻度で血液検査を行っていますが、そこではM蛋白のほか、カルシウム、腎機能、貧血の検査も行います。たとえば、「カルシウム値は上がっていませんね。腎機能は変わっていないですね。貧血は進んでいませんね。だから、まだ治療は行いませんよ」といったお話をしています。

さらに検査値は、多発性骨髄腫がどのくらい進行しているか(“進行度”あるいは“重症度”と言います)をみるのに必要です。進行度によって、ある程度、その後の病気の経過を予測することができます。進行度をみる方法には、Durie(デューリー) & Salmon(サーモン)病期分類という昔からある分類法と、国際病期分類システム(ISS分類)があります(図2)

図2 多発性骨髄腫の進行度をみるには主に2種類の分類法が使われています
国際病期分類システム(ISS分類)
Revised ISS(R-ISS)分類
Durie & Salmon病期分類

ISS分類は血液中のアルブミン(Q1参照)とβ2(ベータツー)ミクログロブリン(蛋白の一種)の2種類だけで判定します。アルブミンは一般的な血液検査で測定していますが、β2ミクログロブリンは多発性骨髄腫と診断されてから、はじめて行う検査です。近年ではISS分類の方がよく用いられていますが、さらに最近になって、ISS分類に、血清乳酸脱水素酵素(LDH)の検査値と特定の染色体異常を組み合わせたRevised ISS(R-ISS)分類も用いられるようになりました(図2)。一方、Durie & Salmon病期分類は、M蛋白の量、貧血があるかどうか、カルシウムが増えているかどうか、レントゲン検査で骨病変が見られるかどうか、などから分類する方法です。