検査値を知る

診断時の検査

Q1.
多発性骨髄腫の診断に必要な検査を教えてください
A1.
特に重要なのは、総蛋白とアルブミンの検査です

多発性骨髄腫の診断には、いろいろな検査を行います(表1)。多発性骨髄腫では骨折や骨の痛みを伴うことから、骨粗鬆症などの骨の病気と間違われやすく、また貧血などの症状がみられますので、白血病など、他の血液疾患と区別することも大切です。多発性骨髄腫の診断に重要とされる検査値は、総蛋白とアルブミンです。これらは、定期健康診断や人間ドックなどで行う通常の血液検査で測定できます。

表1 多発性骨髄腫の診断にはさまざまな検査を行います

総蛋白は血液中に含まれる蛋白の総量で、そのほとんどをアルブミンと免疫グロブリン(抗体)という蛋白が占めています。多発性骨髄腫では多くの場合、異常な免疫グロブリン(“M蛋白”と言います)が多量につくられますので、血液中の総蛋白が増加します。一方、アルブミンは主に肝臓でつくられるのですが、多発性骨髄腫では全身状態が悪化しているため、アルブミンが減少します(図1)。このように、“総蛋白量が上がり、アルブミン値が下がる”という現象は多発性骨髄腫に特徴的で、他の病気ではあまりみられませんので、知っておくとよいでしょう。

図1 多発性骨髄腫では、総蛋白量が上がり、アルブミン値が下がります

ただし、総蛋白とアルブミンだけで診断するわけではありません。そのほかにカルシウム値や貧血の程度など、いくつかの検査値を組み合わせて判断します。さらに総蛋白量は、診断時だけでなく、治療の効果をみるときにも使います。治療が効いているのかどうかは、総蛋白量の上がり下がりをみればある程度わかります。

多発性骨髄腫のなかには、M蛋白が血液中にみられず、尿に出てくるタイプもあります。その場合には、尿検査(通常の尿検査とは異なり、1日ためた尿を使います)を行い、尿中の蛋白を詳しく調べる必要があります。尿にだけM蛋白を蛋白尿として来すタイプ(ベンス・ジョーンズ型)の場合には骨髄腫細胞が分泌している蛋白は低分子で尿に漏れ出ているわけですから、総蛋白量の上昇を来しません。したがって、総蛋白量の上下は治療の指標にもなりません。また、総蛋白が高値になると「偽性低ナトリウム血症」といって、血中のナトリウム値が低下します。治療により総蛋白の値が低下するとナトリウム値も上昇してきます。