多発性骨髄腫に関連した検査のなかから、特に患者さんに知っていただきたい検査項目を取り上げ、どのような目的で検査を行うのか、日常生活に検査値をどう活用していけばよいかなどを、渡辺隆先生(三重大学大学院医学系研究科 遺伝子・免疫細胞治療学教授)にわかりやすく解説していただきました。

基礎編

検査値を知る

渡辺隆 先生
三重大学大学院医学系研究科
遺伝子・免疫細胞治療学教授

先生からのメッセージ

検査値の多少の変動に一喜一憂せず、慌てずに治療を進めていきましょう

多発性骨髄腫ではいろいろな検査を行いますが、たとえばM蛋白の値が1,420mg/dLから1,430mg/dLに上がったからと言って、落胆する必要はありません。検査値は多少上がったり下がったりしますので、あまり細かい変動は気にせず、上(かみ)一桁くらいを見るようなつもりでいれば十分だと思います。また、一般的には2回測りますので、たとえ1回目の検査値が悪くても心配せず、1回目と2回目の検査値を総合して考えるようにしましょう。

また、ある1つの検査値が悪くなったとしても、病気が進行したとは限りません。貧血はどうか、腎機能はどうかなど、他の検査値も併せて総合的に判断するとよいと思います。大切なのは、1つの検査値の上がり下がりだけで一喜一憂しないようにすることです。

お薬による治療を行っている場合、検査値がなかなかよくならないからと言って、次から次へとお薬を替えることがよいとは限りません。なかにはゆっくりと、徐々に効いてくるお薬もありますので、慌てずに、主治医と相談しながら治療を進めていきましょう。同じ多発性骨髄腫でも十人十色で違います。病気と上手につき合うことが大切です。

昨今、いろいろな検査値が糸口になって、非常に早い段階で病気が見つかるようになってきました。そのため、昔は診断された時にすでに病気が進行していて、治療を入院からスタートする患者さんや寝たきりの患者さんが多かったのですが、今は外来に通って来られる患者さんがすごく増えました。新しいお薬もどんどん開発されています。多発性骨髄腫は、昔のように悲観するような病気ではなくなりました。